「早く元気にならなきゃ」と思っているあなたへ~ペット火葬の現場から伝えたいこと
ペット火葬の現場に立ち会っていると、飼い主さまからよくこんな言葉を耳にします。
「いつまでも泣いていてはいけませんよね」
「いつまでこんなに辛い気持ちが続くんでしょう」
その言葉の奥には、深い悲しみと同時に、「早く立ち直らなければならない」という焦りや思い込みが感じられます。しかし、ペットロスは本当に“克服”しなければならないものなのでしょうか。
ペット火葬の現場で感じる、悲しみのかたち

ペット火葬に伺うと、飼い主さまの反応は本当にさまざまです。
涙が止まらず声を詰まらせる方もいれば、気丈に振る舞おうとされる方、何度も「ありがとう」とペットに声をかけ続ける方もいます。
どの姿も、間違いではありません。
それぞれが、その方なりのペットロスの表れなのです。
ペットは家族であり、多くの時間を共に過ごしたとても大切な存在です。
散歩、食事、帰宅時のお出迎え、眠る前のひととき…
そうした当たり前の日常が突然失われることは、想像以上に大きな悲しみとなります。
「時間が解決する」という言葉が、苦しさになることもある
「時間が経てば楽になりますよ」
周囲からよくかけられる言葉ではないでしょうか。確かに、時間が心を少しずつ整えてくれることはあります。
しかしその言葉が、
「まだ悲しい自分はおかしいのではないか」
「こんなに経っているのに立ち直れない」
という新たな苦しみを生むことも…
ペットロスに回復の期限はありません。
悲しみの深さは、愛の深さと比例します。
ペット供養は「忘れるため」ではない

ペット供養というと、「区切りをつける」「自分の気持ちを整理するため」と思われがちです。
ですが、実際のペット火葬・供養の現場では、多くの方が「忘れるため」ではなく、「つながりを確かめるため」に供養を選ばれています。
・最後にきちんと納得のいく形でお見送りをしたい
・ありがとうを伝えたい
・あの子が安心して旅立てるように
その想いは、悲しみを消すためのものではありません。
その悲しみと共に、大切なあの子の存在を心の中に残すための行為です。
無理に克服しようとしない、という選択
ペットロスは、乗り越えるものではなく「形を変えていくもの」だと、私たちは感じています。
最初は胸が締めつけられるような痛みでも、やがて「会えてよかった」「一緒にいられて幸せだった」という想いに変わっていくことがあります。
それは、悲しみを無理に押し込めたからではありません。
悲しむ時間を、きちんと自分に許したからです。
ペット火葬後、「まだ写真を見ると涙が出ます」と話される方は少なくありません。それでも、その涙の中には、少しずつ感謝や愛情が混じってきます。それこそが、自然なペットロスの過程なのです。
「泣いてもいい場所」があることの大切さ
訪問型のペット火葬や個別供養が選ばれる理由のひとつに、「周囲を気にせず悲しめる」という点があります。
自宅や思い出の場所で、周りを気にせずにゆっくりとお別れができることは、自身の心にとってとても大切な時間です。
悲しみを我慢し続けると、心は行き場を失ってしまいます。
泣くこと、話すこと、思い出を語ること。
それらはすべて、ペットロスを無理なく受け止めるための自然な行為です。
ペットロスに「正解」はない
「もう大丈夫」と思える日が来る人もいれば、何年経ってもふとした瞬間に思い出す人もいます。
私も7年前に大切な愛犬を亡くしましたが、毎日のように愛犬と過ごした日々や、お見送りの日のことを思い出します。
どちらも正解で、どちらも愛の証です。
ペット供養とは、悲しみを終わらせる儀式ではありません。
愛していたという事実を、静かに肯定する時間です。
もし今、ペットロスの中で苦しんでいるなら、無理に克服しようとしなくて大丈夫です。
悲しみがあるのは、それだけ深く愛したから。
悲しみは、愛の後に残る大切な感情です。
どうか自分の気持ちを否定せず、あなたのペースで歩んでください。
あの子はいつも、あなたを想い見守ってくれています。
福島ペット火葬一縁 樋口一恵